アルコール依存症だと障害年金は受給が難しい?知っておきたい「精神」と「身体」2つの認定ポイント
「長年のお酒が原因で、仕事や生活がままならない」「アルコール依存症で通院しているけれど、障害年金の対象になるのだろうか?」
当事務所にも、こうした切実なご相談が寄せられます。インターネット上では「アルコール依存症は障害年金をもらえない」といった情報を見かけることがあり、申請をためらってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
結論からお伝えしますと、アルコール依存症という診断名だけで一律に支給されないわけではありません。ただし、一般的なうつ病や他の病気と比べると、認定されるための条件が具体的に定められており、ハードルがやや高くなっているのが現状です。
今回は、アルコール依存症の方が障害年金を申請する際に、必ず知っておきたい「精神」と「身体」それぞれの認定基準について、専門家の視点から分かりやすく解説します。
1.「精神の障害」として申請する場合の壁
アルコール依存症は、医学的には「精神作用物質使用による精神及び行動の障害」というカテゴリーに含まれます。しかし、単にお酒を飲みすぎてしまう、あるいは酔って問題行動を起こしてしまうという状態だけでは、障害年金の認定対象とはなりにくい傾向があります。
国の認定基準では、以下の状態にあるかどうかが重視されます。
- 認定の対象となり得るケース長期間の飲酒によって生じた「精神病性の障害(幻覚や妄想など)」がある場合、または「明らかな身体依存(離脱症状など)」が見られる場合です。
- 注意が必要な点一方で、「精神病性障害を示さない急性中毒」や「明らかな身体依存が見られないもの」については、認定の対象とならない旨が基準に記されています。
つまり、ご自身の状態が、単なる飲酒による一時的な影響を超えて、脳機能や身体に深刻な依存状態が生じていることを、医師の診断書を通じて明確に証明する必要があります。
2.「肝臓の障害」として申請する場合と「断酒」
長年の飲酒は、精神面だけでなく、肝臓などの身体機能にも大きなダメージを与えることがあります。「アルコール性肝硬変」などがその代表です。
肝機能の障害として申請する場合、検査数値(ビリルビン値や腹水の有無など)による重症度判定に加え、非常に重要な「断酒」の要件が存在します。
認定の運用上、アルコール性肝硬変については、以下の2点が確認できた場合に限り認定を行うとされています。
- 継続して必要な治療を行っていること
- 検査日より前に180日以上、アルコールを摂取していないこと
たとえ重い症状があっても、お酒を飲み続けている状態では「治療の効果が期待できない」等の理由から、認定を受けることが難しくなる可能性があります。この「半年以上の断酒」をどう証明していくかも、手続き上の大きなポイントとなります。
3.もう一つの難関「初診日」の証明
アルコール依存症の申請で、認定基準と同じくらい悩みが多いのが「初診日」の証明です。
障害年金を受け取るためには、原因となった病気で初めて医師の診察を受けた日(初診日)を特定し、その時点で年金保険料を納めていたかを証明しなければなりません。
しかし、アルコールに関する悩みは、「受診するまでに時間がかかる」「転院を繰り返している」「昔のことで記憶が曖昧」といった事情により、初診のカルテが残っていないケースも少なくありません。
カルテがないからといって、すぐに諦める必要はありません。診察券や当時の領収書、あるいは第三者の証言などを積み重ねることで、初診日として認められる可能性も残されています。
まとめ:一人で判断せず、専門家にご相談を
アルコール依存症による障害年金の申請は、「身体依存の状態」や「断酒の実績」を客観的に証明する必要があり、一般的な申請よりも慎重な準備が求められます。
「自分の場合はどうなのだろう?」「断酒期間はどうやって証明すればいい?」
そう迷われたときは、ご自身だけで判断して諦めてしまう前に、ぜひ一度、障害年金を専門とする社会保険労務士にご相談ください。これまでの病歴や現在の生活状況を丁寧にお伺いし、どのような可能性が考えられるか、親身に相談対応が可能です。私ども「みんなの障害年金相談所」へ是非ご相談ください。



