【社労士が解説】障害年金を受け取るための条件とは?対象となる病気や収入との関係を分かりやすくガイド

はじめに:障害年金は「身近な」制度です
病気やけがによって、これまで通りの生活や仕事が難しくなってしまったとき、多くの方が経済的な不安を感じられることと思います。そんなとき、生活を支える大切な柱となり得るのが「障害年金」です。
しかし、「自分は対象にならないのではないか」「手続きが難しそうで諦めてしまった」というお声をよく耳にします。実は、障害年金は身体の障害だけでなく、精神的な不調や内臓の病気など、非常に幅広い傷病が対象となる可能性があります。
本記事では、障害年金の基本的な仕組みや種類、対象となる病気の例、そして気になる収入や税金との関係について、社会保険労務士の視点から分かりやすく解説します。
——————————————————————————–
1.障害年金の種類と基本的な仕組み
障害年金は、加入している年金制度によって主に2つの種類に分けられます。どの年金を受け取れるかは、原則として「初診日(その病気やけがで初めて医師の診察を受けた日)」にどの年金制度に加入していたかで決まる傾向があります。
①障害基礎年金
自営業の方、学生、専業主婦(夫)、あるいはフリーランスの方などが、初診日に国民年金に加入していた場合が対象となります。障害の程度に応じて「1級」と「2級」があり、日常生活にどの程度の支障があるかによって判断されます。
②障害厚生年金(および障害共済年金)
会社員や公務員の方が、初診日に厚生年金(または共済年金)に加入していた場合が対象となります。こちらは「1級」「2級」に加えて、より軽い障害の程度である「3級」まで対象となるほか、一時金である障害手当金が支給されるケースもあります。そのため、障害基礎年金に比べて受給の可能性が広がる場合があります。
——————————————————————————–
2.「こんな病気も対象?」受給の可能性がある傷病例
「障害年金=身体的な障害」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には外部からは分かりにくい内部疾患や、心の病気も対象となります。
精神の障害
近年、ご相談が増えているのが精神疾患に関するものです。
- うつ病・双極性障害(躁うつ病)
- 統合失調症
- 発達障害(ADHD、アスペルガー症候群、学習障害など)
- 知的障害
- 高次脳機能障害
ご自身では「性格の問題だから」と思われていても、それが病気による症状であれば、年金の対象となる可能性があります。
身体の障害(肢体・感覚器)
手足の不自由さだけでなく、関節や感覚器の障害も含まれます。
- 脳梗塞の後遺症
- 人工関節・人工骨頭の挿入(大腿骨頸部骨折や変形性股関節症など)
- 眼の病気(緑内障、網膜色素変性症など)
- 進行性核上性麻痺などの難病
内部障害・その他の疾患
長期の療養が必要な内臓の病気なども対象として検討されます。
- がん(悪性新生物)
- 腎疾患(人工透析を受けている場合など)
- 人工肛門(ストマ)の造設
- 脳アミロイドアンギオパチーなど
このように、病名は多岐にわたります。「この病気では無理」と決めつけず、現在の生活への影響度合いを確認することが大切です。
——————————————————————————–
3.受け取るための3つの基本条件
障害年金を受け取るためには、一般的に以下の3つの要件を満たしていることが求められます。
- 初診日要件病気やけがのために初めて医師の診療を受けた日を特定し、その日に公的年金に加入していたこと(または20歳未満であったことなど)が必要です。
- 保険料納付要件初診日の前日において、一定以上の期間、年金保険料を納めているか、免除されている必要があります。「経済的に苦しくて払えていなかった」という場合でも、免除申請などが適切になされていれば要件を満たす可能性があります。
- 障害状態要件障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過した日、またはそれ以前に症状が固定した日)において、国が定める障害の等級に該当していることが必要です。
——————————————————————————–
4.働きながらでも受給できる?収入と税金の話
障害年金を検討する際、「働いていると貰えないのではないか」「税金はどうなるのか」といった疑問を持たれる方も多いようです。
働きながらの受給について
障害年金は、受給しているからといって必ずしも仕事を辞めなければならないわけではありません。特に「障害厚生年金3級」などの場合、お仕事を続けながら受給されている事例も多く見られます。また、人工透析を受けながら勤務されている方などが受給されるケースもあります。※ただし、20歳前の傷病による障害基礎年金など、一部のケースではご本人の所得による制限が設けられている場合があります。
税金と扶養の注意点
基本的に、障害年金自体は「非課税」ですので、所得税や住民税はかかりません。一方で、ご家族の健康保険の扶養に入る場合などの「収入要件」においては、障害年金の受給額も年収として計算に含まれることが一般的です。また、生活保護を受給されている場合は、収入として調整されることがありますので、事前の確認をお勧めします。
——————————————————————————–
5.申請における「診断書」の重要性と専門家の役割
障害年金の申請において、非常に重要となるのが「医師による診断書」です。しかし、限られた診療時間の中で、医師が患者様の日常生活の細かな困りごとまで全て把握することは難しい場合もあります。その結果、診断書の内容が実際の生活実態よりも軽く書かれてしまい、本来受け取れるはずの等級よりも低く判定されたり、不支給となってしまったりするケースが見受けられるようです。
専門家に相談するメリット
障害年金の制度は複雑で、窓口での手続きや書類作成には専門的な知識が求められる場面が多くあります。
- 日常生活の状況を正しく医師に伝えるサポート
- 初診日の証明が難しい場合の調査
- 書類の不備による返戻の防止
社会保険労務士などの専門家にご相談いただくことで、ご自身の状況を適切に反映した申請が可能になり、結果として適切な等級での認定につながる可能性が高まるかもしれません。
——————————————————————————–
おわりに
障害年金は、皆様の生活を支えるための公的な権利です。「制度を知らなかった」「難しそう」という理由で申請をためらわれているとしたら、それはとてももったいないことかもしれません。
当事務所では、障害年金に関するご相談を承っております。ご自身の病気が対象になるのか、受給の可能性があるのかなど、まずは一度、お気軽にお話しをお聞かせください。皆様が安心して生活を送れるよう、親身になってサポートさせていただきます。



