障害者手帳がなくても申請できる?2つの制度の違いと受給の可能性を解説

精神疾患や身体の病気によって、仕事や日常生活に大きな支障が出ているとき、経済的な支えとなるのが「障害年金」です。しかし、ご相談をお受けする中で非常によく耳にするのが、「私は障害者手帳を持っていないから、障害年金はもらえませんよね?」というお声です。

どちらも「障害」と名のつく公的な制度であるため、「手帳と年金はセットである」「手帳がないと年金の対象にならない」と思い込んでしまうのは、無理もないことかもしれません。

しかし、結論から申し上げますと、障害者手帳を持っていなくても、障害年金の申請を行うことは可能であり、受給できる可能性も十分にあります

今回は、混同されやすい「障害者手帳」と「障害年金」の違いや、手帳を持っていなくても申請を諦める必要はない理由について、社会保険労務士が分かりやすく解説していきます。

障害者手帳と障害年金は「まったく別の制度」です

障害者手帳と障害年金は、名前は似ていますが、目的や管轄している機関、根拠となる法律などが異なる、まったく別の制度として運用されています。

1.目的と支援内容の違い

  • 障害者手帳:各自治体(都道府県や政令指定都市など)が交付を行います。主に、医療費の助成や税金の軽減、公共交通機関の運賃割引、携帯電話料金の割引など、生活上の「サービスや優遇措置」を受けるためのパスポートのような役割を果たします。
  • 障害年金:国(日本年金機構など)が管轄しています。病気やケガによって生活や仕事が制限されるようになった方に対し、生活を支えるための「現金」を定期的に給付する制度です。

2.申請できるようになる時期(条件)の違い

精神疾患の場合を例に挙げると、「精神障害者保健福祉手帳」は初診日(初めて医師の診察を受けた日)から「6ヶ月以上経過」した日から申請が可能とされています。一方、障害年金は、原則として初診日から「1年6ヶ月経過」した日(これを障害認定日と呼びます)からでなければ申請できません。このように、制度を利用できるようになるタイミングにも違いがあるのです。

手帳を持っていなくても障害年金は受給できる?

前述の通り、これらは独立した別の制度であるため、「手帳を持っていないと年金の申請ができない」というルールはありません。実際に、障害者手帳の交付を受けていなくても、要件を満たして障害年金を受給されている方は多数いらっしゃいます。

審査を行う機関も異なるため、障害者手帳を取得するための審査と、障害年金をもらうための審査は、それぞれ別々に行われます。極端な話をすれば、「障害年金は受給して生活の足しにしているけれど、障害者手帳の申請はしていない」という状態であっても、制度上はまったく問題がないと考えられます。

「手帳の等級=年金の等級」とは限りません

別の制度であるということは、「審査の基準」も違うということを意味します。これも非常によくある誤解なのですが、「障害者手帳が3級だから、障害年金も3級になるはずだ」とは限りません。

  • 手帳を持っていなくても、障害年金の2級に認定されるケース
  • 手帳は2級を持っているけれど、障害年金は不支給(対象外)となるケース
  • 手帳と年金で、認定される等級が異なるケース

このようなことは、実務上において頻繁に起こり得ます。障害年金の審査では、単なる病名だけでなく、「その病気によって、実際の日常生活や労働にどれくらい支障が出ているか」がより重視される傾向にあるためです。

そのため、「手帳の等級が低いから、年金もどうせもらえないだろう」と自己判断して申請を諦めてしまうのは、大変もったいないことだと言えるでしょう。

手帳の取得が年金審査に影響することはある?

基本的には別の制度ですが、完全に無関係かというと、そう言い切れない部分もあります。

障害年金の申請時には、ご自身で作成する書類の中に、障害者手帳の所持の有無や等級を記載する欄が設けられています。手帳を持っている事実が、ご自身の障害の程度を示す一つの客観的な情報として審査側に伝わる可能性は考えられます。また、手帳を取得することで就労継続支援などの福祉サービスを利用しやすくなり、その「支援を受けている」という実績が、日常生活における困難さを裏付ける材料となることもあります。

しかし、繰り返しになりますが、「手帳がないと審査で不利になる」と決めつける必要はありません。障害年金の申請において最も重要なのは、医師に作成してもらう「診断書」に、現在の症状や生活のしづらさが正しく、詳細に反映されているかどうかです。

迷ったら、まずは専門家にご相談を

「手帳を持っていないけれど、自分の症状で申請できるのか?」「そもそも、自分は障害年金の対象になるのだろうか?」

このような疑問や不安をお持ちの場合は、ご自身だけで悩んだり、インターネットの情報だけで「無理だ」と諦めたりせず、まずは専門家である社会保険労務士にご相談されることをお勧めします。

障害年金の制度は非常に複雑であり、手帳の有無以外にも、初診日の特定や年金保険料の納付状況など、クリアすべき重要な要件がいくつも存在します。専門家に相談することで、現在の状況を客観的に整理し、受給の可能性があるかどうか、そしてどのような準備が必要なのか、的確なアドバイスを受けることができるでしょう。

みんなの障害年金相談所では、無料相談を実施中です。手帳をお持ちでない方も、どうぞお気軽にお問い合わせいただき、これからの生活を支えるための第一歩を踏み出してみてください。

 

 

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