障害年金の事後重症請求とは?症状が悪化したときに知っておきたい申請のポイントと注意点
障害年金の制度について調べていく中で、「初診日から1年6ヶ月経った日(障害認定日)の症状が重くないと申請できない」という情報を目にして、落ち込んでしまった経験はないでしょうか。
「初めて病院に行った頃は、まだなんとか働きながら生活できていた」「1年半の時点では今ほど症状が重くなく、通院も途切れがちだった」「過去に一度申請したけれど、その時は症状が軽いと判断されて不支給になってしまった」
このようなご事情から、「自分は障害年金をもらえないのだろう」と自己判断し、申請を諦めてしまっている方は少なくありません。しかし、結論から申し上げますと、過去の症状が軽くても、その後に症状が悪化し、現在日常生活やお仕事に大きな支障が出ているのであれば、障害年金を受給できる可能性は残されています。
そのための申請方法が、今回解説する「事後重症請求(じごじゅうしょうせいきゅう)」という手続きです。今回は、この事後重症請求の仕組みや、申請時に絶対に気をつけたいポイントについて、社会保険労務士が分かりやすく解説していきます。
事後重症請求とは?「いま」の症状で審査を受ける方法
障害年金は、原則として「初診日(初めて医師の診察を受けた日)から1年6ヶ月が経過した日」の症状で等級を判断します。この1年6ヶ月経過日のことを「障害認定日」と呼びます。
しかし、精神疾患や一部の慢性疾患などは、時間の経過とともに徐々に症状が進行したり、環境の変化によって急激に悪化したりすることがよくあります。障害認定日の時点では障害等級(1級〜3級)に該当するほどの状態ではなかったとしても、その後症状が重くなり、等級に該当する状態になった場合に、「現在の悪化した症状」をもとに年金を請求することができる制度、それが「事後重症請求」です。
前回の記事で「一度不支給になっても再請求ができる」とお伝えしましたが、まさにこの事後重症請求がその代表的な方法となります。前回申請した時よりも症状が悪化している場合、現在の重くなった状態を記載した新しい診断書を用意することで、改めて審査を受けることが可能になるのです。
事後重症請求の「2つの大きな注意点」
事後重症請求は、現在苦しんでいる方にとって非常に救いとなる制度ですが、本来の請求方法(障害認定日請求)とは異なる、いくつかの重要な注意点が存在します。
1.過去にさかのぼって(遡及して)もらうことはできない
これが最も重要で、かつ注意すべきポイントです。本来の障害認定日で請求ができれば、仮に申請が数年遅れたとしても、最大5年間分をさかのぼって(遡及して)まとまった年金を受け取れる可能性があります。
しかし、事後重症請求の場合は、「請求の手続きをした月の翌月分から」しか年金が支給されません。たとえば、「3年前からずっと症状が重くて寝たきりだった」という事実があったとしても、事後重症として認められるのはあくまで請求手続きを行った時点からとなり、過去3年分の年金を受け取ることはできない仕組みになっています。
つまり、申請を迷って先延ばしにすればするほど、本来受け取れたはずの年金が月単位で消滅していくことになります。そのため、「もしかしたら該当するかもしれない」と思った段階で、1日でも早く手続きに向けた準備を始めることが非常に大切になると言えます。
2.年齢制限(65歳の前々日まで)がある
事後重症請求は、いつでも無期限に行えるわけではありません。原則として、「65歳に達する日の前日(誕生日の前々日)」までに、年金事務所などの窓口へ請求書類を提出し終えている必要があります。
65歳を過ぎてから「昔から症状が重かったんです」と事後重症請求をしようとしても、制度上受け付けてもらうことはできません。期限が迫っている方は、特に急いで初診日の特定や診断書の依頼を進める必要があります。
どのようなケースで事後重症請求になるのか?
実務上、事後重症請求となるのは、単に「後から症状が悪化した」というケースだけではありません。以下のような理由から、結果的に事後重症請求を選択せざるを得ない方も多くいらっしゃいます。
「障害認定日当時のカルテが破棄されている」
病院のカルテ保存期間は5年であるため、初診日から長い年月が経っていると、障害認定日(1年6ヶ月時点)に通っていた病院のカルテがなく、当時の診断書を書いてもらえないことがあります。その場合、過去の請求を諦め、「現在の症状」だけで事後重症請求を行うケースがあります。
「障害認定日頃は通院していなかった」
「少し調子が良くなったから」と自己判断で通院をやめてしまっていた期間が、ちょうど障害認定日と重なっていた場合、医師に当時の状況を証明してもらうことが困難になります。
このように、事後重症請求は「過去の証明が難しい場合」の有効な代替手段となることも多いのです。実際に、初診日の証明に関する記録を見直し、事後重症請求に切り替えることで無事に受給へとつながった事例も多く存在します。
一日でも早い受給のために、専門家をご活用ください
事後重症請求は、「申請した月の翌月」からしか年金が支給されないという性質上、「スピード」と「正確性」が何よりも求められます。
ご自身で体調が優れない中、年金事務所へ何度も足を運んで書類の不備を指摘されたり、主治医に診断書の修正をお願いしたりしていると、あっという間に数ヶ月が経過してしまいます。その数ヶ月分の遅れは、数十万円という本来受け取れるはずだった年金を失うことになりかねません。
「自分の場合は、事後重症請求で進めるべきなのだろうか?」「今の症状で、障害等級に該当する見込みはあるのだろうか?」
そのような疑問や不安をお持ちの場合は、ご自身で悩み続ける前に、ぜひ障害年金を専門とする社会保険労務士にご相談ください。専門家であれば、あなたのこれまでの治療歴や現在の生活状況を丁寧にヒアリングし、過去にさかのぼって請求できる可能性がないかを探った上で、最善かつ最短のルートで申請手続きを代行することが可能です。
当事務所でも、ご相談者様が一日でも早く安心した療養生活を送れるよう、迅速な書類作成と申請サポートを行っております。着手金無料でのご相談も承っておりますので、まずは現在の「お困りごと」を私たちにお聞かせください。あなたの状況に合わせた、最適な解決策をご提案させていただきます。



